鳴る、
軋む、
爆ぜる。
私の中の、歯車が。
およそ誂えたとは思えない速さで
チクタクチクタクと
叫んでいる。
呼んでいる。
まだちいさな双子のように。
変わり身の、
正反対の、でも
揃わなければ朽ちてしまう
片方を呼んでいる。
くいちがい
くいちがわせ
遠ざけて
外して
それでもなお
私の壁を貫き祈るように
呼んでいる。
いつもよりも、遥かに強く圧縮する
内燃機関、
(あるいはルミネッセンス、のような)
重力を打ち消すのと同期して
私の隅々から
歯車が爆ぜる。
積み上げきった嘘とともに。
(プリンセス……否、私の愛しいキジバト、
間に合って。どうか、どうか、
愛と国とともに消えてしまわないで、
どうか、どうか)
次々に爆ぜる
爆ぜる
届いて、
手を引かれて
落下する壁をかいくぐり
歯車はそれでも回り続ける
呼んでいる
叫んでいる
届いて、
(与えられた使命など、)
届いて!
白くなれ
白くなれ
離さないで、
白くなれ
白くなれ、
白くなれ!
壁を超えて
今度は貴女を
地に降りて迎えるために
──いつか、
重力に逆らわずとも
白昼の下で
並んで立っていられるように、
(Dedicated to Ange le Carre)
選出作品
作品 - 20181213_241_10948p
- [優] Clockwork screaming kiss her kiss her - アルフ・O (2018-12)
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Clockwork screaming kiss her kiss her
アルフ・O