選出作品

作品 - 20181001_037_10777p

  • [佳]  星星 - 本田憲嵩  (2018-10)

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星星

  本田憲嵩

(記憶の夜空に浮かぶ
(過去の星星は
(幾億光年という長い歳月を経た
(客観性の強い光を帯びて――

つい先日 北海道全域が地震と停電に襲われた
ぼくの住むこの赤い夕陽の市(まち)でさえ
家屋こそ倒壊はしなかったものの
その夜は
夜よりも さら暗い
夜に世界は包まれ
そのひとときだけ観測できる
貴重な鉱物である星星を
首が痛くなるまで
いつまでも
採取して

そう 何度でも 何度でも

たとえいつもは視えないものだったとして
失うことでしか確認できないことをいつも繰り返して
いったいなにを得てゆくだろう

(客観性の強い光を徐々に帯びながら――