選出作品

作品 - 20180320_850_10330p

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Fixing you, messing me(Wilder than heaven)

  アルフ・O

 
 
 
掴めば壊れてしまう程の
細い手首
耳鳴りにもう飽きてしまった
不感症に
つける薬はないと吐き捨てる
灯りを消してみる夢と
消さずに見る夢
「まだだめよ、って
 声が連なって聴こえる」
彩度まで揺らぎ始める
平行線の上
何をすれば喜んでくれるの、

「キーワードは?
「風紀委員とかドレッサーとか、
 うーん、それくらい、
「まだあるでしょ、リンゴとか
 カボチャとかラズベリーとか。
「あと2人無視しないでね。
「逃げ回ってるだけの人に用は無いよ、
「孵化できないことにも気づかないでいる、

(懺悔は砂時計の後に。

(眠りに就くアメジスト、かしら、
溢れる淀みの中で
彼女たちの影だけが芽吹くのが解る
(浮腫む花、
 フィルムにも映されずに唄う、
(骨になっても介錯してくれるのね、
「貴女のいる地獄に
 この手は届きそうにない、
 何度繰り返したって、
そう呟く背に
含み笑いが応えた気がして
振り向くけれどその合間に
理は(貴女に)
(もしくはあたしに)
都合よく収斂され
変性されて
綻びは書き換えられてしまった
(噛み砕かれ、
残っているのはその
耳飾りだけ、

(歯車の軋みに気づかないふりをしてる、
(貴方だけね、剣を突き立ててくれたのは
(迷わないただ一つの方法は、迷い続けること、
(埒あかないね。
(あたしにその勇気がないから、

「天気予報は外れ、
「切れ端の散文が夕闇に溶けてく。
「もう誰にも読まれない、
「彼女の言うことが本当なら、
「遠くない将来、
 あたしたちもそこに回収される、
「壁の外側から
 干渉の外側から
 また聴こえた、」
(そして“もう大丈夫”と
 彼女たちは
 闇を裂き天を射抜く)
湖を揺らす音が
解いた髪とリボンを伝って
肌を断ち切るように
並べたひとりがけの椅子が
朽ちてゆくのを拒むように
 
 
 
*These words are dedicated to H.A., K.S. and...

(ねぇこの但し書き、必要?まぁいっか。)
(ずいぶん野蛮で、身勝手な楽園ですこと、)
(頼んでもいない時に限って、空は美しくなるよね。
 いっそ、いっそのこと、
 塵も残さないほど葬って欲しいのに、)