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作品 - 20180129_037_10206p

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体毛の指

  あおい

私の皮膚から色とりどりの体毛が生えていく
色とりどりの体毛は、私の体内で流れる熱い
赤い海を揺らして、大地を割って生まれてく
る。色とりどりの体毛がやがて一本一本の指
に変わり、その指たちの背中には目を持つよ
うになり、目は口の代わりになり、涙や笑い
や怒りを囁きあう。囁きはざわめきになり、
大きくなる。右の耳の皮膚が痒い。それは体
毛の指たちの、声の足跡が指圧になって、ぐ
ちゃぐちゃと耳のなかの皮膚を踏みにじって
いった痕が谺するからだろう。痛みは、ひと
すじの光のように、聴こえてくる夜をつらぬ
いていく。夜たちは皆、足を切られている。

文学極道

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