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作品 - 20180124_965_10199p

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夜燈の飾帽子

  鷹枕可

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丁度、夜の敷設路をつづく常夜燈が灯り
汽罐車は轟々と花粉を撒き散らしながら溪谷の窪を通りすぎるころだ
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颪、
燦燦と揺れる光暈がその煉瓦石の停車駅に
心許なく手袋を擦り合わせる婦人の飾帽子を掠めた、その間に
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鳩の翼と紫陽花を縫付けた飾帽子を
渦巻く鏡のなかの丘陵のようにそのゆびさきから引き離してゆくものは
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「ほろほろと水の音を牽く噴泉であるかのように苦い糧を鹹い舌に確め 
 私は/私の樹にあなたへ/名前を刻む/私の名を/」
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鞦韆に落ちたひとひらの枯葉の様に
飾帽子を拾い
写真のなかに鉄道員は百年の季節をうなだれている
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全ては
鉱物に閉じこめられた
歪像画の
視る夢

文学極道

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