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作品 - 20180113_700_10169p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


瞼の彩り

  kaz.

透かし模様の中の国には蝉の羽の
ように曖昧な国境線が引かれてい
て心が折れそうになる
だから、というわけじゃないけど
句読点を追いかけるようにアシン
メトリーに達するψが
不思議でならなかった、ならなか
ったということから逃れられなか
ったアサシンクリードに塗られた
塗布剤すなわちクリームをパンに

 悪意が増幅する度に改行を回収する
 そのせいで人は次々に張られた伏線
 に気づけないまま時を過ごすだろう

透かし模様の中の人はクリトリス
にバターを塗ってちょうどなめて
いるところだった、露悪的な露光
に芽という芽をあるいは眼という
眼を摘み取られていくのがはっき
りと感じ取れた
饒舌の海から国語の教科書の中の
黒歴史までみんなクロレッツする
ようにかの人は言った――それは
人々の生活の粛清を意味し舟を編
む私の孤独の中にささやかな熱情
を感じ、取ることができた

 「意志とは感じるものではない、そこ
 にあるものなのだ」と誰かが言って、
 すぐ近くにあったコップを投げ付けた

さっきからずっと殺気と一緒にいるさつきが言ったのだった。ARポッキー、透明なミルクティーを買っての薬局からの帰り道、『俺俺』の主人公のようにいくつも分裂しながらどこまでも歩いていったのだった、精神が聴く、「身体が冷えると……身体全体がだるくなったり……そうなる前に……オススメなのが……ツムラの養命酒……第2類医薬品です」宣伝に躍起になっているのが如実に感じ取れた。やがては詩の時代は終わり、氷河期を迎える、そのときまでに人類の海底移住計画を立てておかなくてはならない

  こうして世の中にはずっと
  物語がある

帰り道、ホシの名前を考える。ア
ルムンティがいいか、アーミタイ
ルがいいか、アビゲイルがいいか、
クンバカがいいか、ザラストヴァ
シュターサナがいいか、ミゲル君
はずっと考えている、考えるとい
うことは衰えるということだ、衰
えるということは哀れむというこ
とだ、否浮かび上がるミサの光景、
だから名前はミサ、ミサギ、ミサ
キ、イサギ、アマカケル、テラス、
メテオ、否、テオ、否、否、否、

星の名前は、結局定まらなかった、定まらないまま宙ぶらりんになった、烏座の黒い模様が透けて見えた、レビアタン座の羽が目に引っかかった、静かな夜が訪れるのがわかった、ザ・ガードを飲んだ、胃腸が安定してきた、そこで閉じた、瞼を

文学極道

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