選出作品

作品 - 20171225_216_10119p

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シャンメリ

  田中恭平

 
気がついたら
死んでいた
にならないように
いいえ
気がついたら
死んでいた
でも
良いような気がする、
言葉の
波を
見つめていたら
ふと
そう想う
もうひとりの
自分もいて
自転車にのって
海岸線を走って
どこまでも
どこまでも
僕、
から
遠のいていく
わたくし、

見ていたら
目が
苦しくなって
目の
渇きを越えて
苦しくなって
奥歯を
ガチッ、
と噛んで
ずうっと
ずうっと
綿あめのような
しかし少し翳のある雲を
眺めて
ひとりで
年の瀬
歩くに
足は
一歩
一歩

痺れ
まるで
夢の世界、といおーか
全身が
痺れている
ベッドの上。
悪いものには酒をくれろ、
という詩句を
目を覚ました僕は
覚えていた。
やがて去りいく寝室も
きれいにしておかなければ
もしものときに
情けなくなる、
と思うと
病も
深さ
その負荷を
身体的には
変えないままに
精神的に
重たくなってゆくのです
見つけたのは、貝
見つけてくれたのは、火

となって
踊れば
ひとは喜んで
しばし佇んでくれるが
雨がふれば
相手にしてくれるものは
無用のひと
あなたしかいない。
私はもう怖れない。
咽喉が、
咽喉が、
全身を代表して乾くのは
くすりの副作用のせいだが

になった者には関係がない。
水を、
水を、
聖水以外の水を、
注いでくれるな!

薪ストーヴの前で
見つめていると
ちくま文庫の
教科書に載った詩のアンソロジーがあって
やけに宮沢賢治の詩が
長いことに興味を持って
やはりパッションといおうか
魂を削って
書いていると
言葉は長くなるのでしょう
おはようございます
ありがとうございます
も明確に発声できない
わたくしは
怖れていては
ひとり窟のなかで
詩を、
みなさまに
読んでいただきたい言葉を
書き、
落としているが
今日は
2017年12月25日の
クリスマス
潮の白さも雪のよう
いいえ、見ていないんですけどね
聞いて
わかっているだけなんですけどね
ちらちらと
詩は
ふりそそぎ
詩は
華となり
咲き
死ぬ
だけならば
丁寧書いてやろうとして
しかし素早く刈らねば萎んでしまう
その詩の熱さに驚きつつ
嗚呼、そうか
僕はもう火ではなくなったんだ
画面の中には
眠れないものしかいない
それが聖夜なんだな
とか
考えて
書き落とす
一枚
一枚
さらり
さらり

近くの
電話ボックスでは
遠距離恋愛の女の子が
坐りこんで話こんでいるけれど
時代が違うのか
僕が嘘を書いているのか
嗚呼
もうどうなったってかまわない
僕は
完璧に
ごちゃまぜの混乱を
体現していて
両指の爪は剥がれ
キーボードの上は
血で汚れているから
それにしたって許せない
ダメヤンの奴が
どうしたって許せない
まだまだいけると
言ってくれたのに
したら
やきがまわったな
って見捨てた
恨んでいるとき
あいつの
ダメヤンの眼は
潤んでいた
全く俺の焼け爛れた腹の底から
ダメヤン太郎君のことを否定したい
しかし太郎はいつもやさしくしてくれる
でもそのやさしさの根底がうつくしすぎるから
逆に腹が立つ
俺の焼け爛れた腹の底が立つと
痛い
痛い、
痛い!
めっさむかつく
といって
窟に籠っているんですけれど
寧ろ抱きしめてやるべきかな
とか
考えつつ
蝋燭の
火を
消す、
誕生日おめでとう
イエス・キリスト
ダメヤンは
天国に逝けますよね?
それが知れたら
まっさきにぶんなぐって
「良かったなー」
って告げてあげるのに。

貝を
食べました。
CLASSICに
生で
そのまま食べました。
メリークリスマス!
ネットで買った白ワインが
今夜は届く筈なのに。