あぁ お母さんに会いに行こう
誰もいない場所で 古く白い階段を登って
ピーィ ピピィーッ
どこかで鳥の囀る声が聞こえる
キーィ ギギャーッ
どこかで猿の群れが鳴いている
隣にいる小鹿は何処に行っていいのかわからず震えている
きっと見守る親がいるからそっとしておく
お母さんに会いに行こう
素朴な椅子に腰掛けた吟遊詩人は
ずっと自分の武勇伝を歌っている
そこらにある花々からは
安らぎの香りが漂ってくる
もうすぐお母さんに会える
ギィーッ ギギッ
お母さん、お母さん
キィーッ キィキッ
お母さんは猿
お母さん、お母さん、私だよ
オカアサンオカアサンワタシダヨ
お母さんは九官鳥
お母さん、私だよ
よく来たね、なんで来たのよ!
キィーッ キキィ ギギャー!
お母さんはまた猿になった
ギィーッ ギギッ
またお母さんに会いに来よう
そこらの子鹿を眺める
吟遊詩人を眺める
手向けられた花束の香り
ギーィ ガチャン
選出作品
作品 - 20171206_847_10077p
- [佳] お母さんに会いに行こう - 白梅 弥子 (2017-12)
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お母さんに会いに行こう
白梅 弥子