刻々と退色してゆく視野を割りながら走る
信号待ちで
ハンドルを抱え
陽のなごりを探して左を見やると
流れていた
二列に背を向けて並ぶ
家々の間に用水路
秋も終わりだというのに草が生い
西洋朝顔が大輪に青をひらく
水か
日差しか
そこは暖かい場所なのだ
背に小さな園(その)を従えて
家々に
住む人どもは幸せだ
そこにはたぶん薔薇の茂みもあって何よりも
緑の下草が
音もなく
萌え続けている
選出作品
作品 - 20171120_448_10036p
- [佳] 暖かい場所 - 宮永 (2017-11)
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暖かい場所
宮永