選出作品

作品 - 20171014_598_9959p

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気に入らないハーブティーの詩

  佐久間直子

歩けば、植物の葉が降ってくる。
心は死んだように移ろい、
苦しみは息を切らしながら走る。

ティザーヌの色は変わる。

暗い青色が薄れていっても
ピンクになることは知らないが、
知らないのは待たないからだ。


「彼の気持ちは変わった。私にも変われというのだろうか。」


昔の信念は、氷上の回路。
溶けてしまえば、終わり。


「貴女はそれを許せますか?」
「赦すことで人は幸せになれるのなら、赦すしかないのだろうか。」
「生きることは枷、枷とは生きることの…」


全て散っても、
灰色になることは許せない。
小さなカップの中では好きになれないのも当然だろう。

移ろわないものはない。
それを人は虚ろと呼んだ。


「出来ることなら乾いた色を樹脂に浸したい。そしたら綺麗に戻るだろうか。」


袋に残った花弁を、
どうすることもできず紅いお茶を飲んでいる。


ただただ、もて余している。