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佐久間直子

選出作品 (投稿日時順 / 全2作)

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気に入らないハーブティーの詩

  佐久間直子

歩けば、植物の葉が降ってくる。
心は死んだように移ろい、
苦しみは息を切らしながら走る。

ティザーヌの色は変わる。

暗い青色が薄れていっても
ピンクになることは知らないが、
知らないのは待たないからだ。


「彼の気持ちは変わった。私にも変われというのだろうか。」


昔の信念は、氷上の回路。
溶けてしまえば、終わり。


「貴女はそれを許せますか?」
「赦すことで人は幸せになれるのなら、赦すしかないのだろうか。」
「生きることは枷、枷とは生きることの…」


全て散っても、
灰色になることは許せない。
小さなカップの中では好きになれないのも当然だろう。

移ろわないものはない。
それを人は虚ろと呼んだ。


「出来ることなら乾いた色を樹脂に浸したい。そしたら綺麗に戻るだろうか。」


袋に残った花弁を、
どうすることもできず紅いお茶を飲んでいる。


ただただ、もて余している。


  佐久間直子

女は同族嫌悪の中において蛇に巻かれ飲み込まれ死につつ

死につつもこの中には何もなくただあるのは憧れであったが反社会的な幼稚な玩具であり毛皮を深く抱き止めども

抱き止めども子どもは腕をすり抜けて行ってしまう。行ってしまう子どもは罪悪感を湛えるもゴルフクラブを振り振り繋ぎ止められ、がんじがらめから抜け出そう

抜け出そうとするほどに紐が絡み付くのは仕方のないことで幾度ともなく誘惑し、何度も離れよう

離れようともしないのは百も承知、そもそも鎖など何処にもないのも重重承知しているだろう

いるだろう。犯人はいるだろう。何処にいるだろう。此処にいただろう。ああ、この女だ。早く捕まえろ。手繰り寄せろ

手繰り寄せろ。そんなことが出来る訳がない。抱きつけば死、網を被せても死。被っても死

被っても死というのなら、生け捕りにする意味もないだろう。絡ませても死というのなら、いっそ絡まってしまう

絡まってしまう中で踊るのは地獄、地獄で踊るのは道化の性。道化の性は愚か者より愚かしい

愚かしい女は同族嫌悪の罪悪感の地獄の鎖の網の毛皮の腕の中において、永遠に果てつつ。

文学極道

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