凧をあげる/鳶がまわる
反発に向き合いながら胸と背中
大空の夢をみなくなって久しい
(おや、また出てきたな、、)
家の中を片付けているといつもおまえはどこからかやってくる
どこに隠れていたのか、じっとして動かない
慌ただしく呼び出されたのに違いない(みつめている)
、(そう、きたのか)、容赦なく叩きつけてやろう
おまえにはわかっているはずだ
こうなることが、運命だと、
風呂から上がり、ドライヤーで髪の毛を乾かしていると不意に何者かの気配がする
今夜あたり白い影をみることになるのかもしれない
南西/東から北へ
旋風がやって来て、括りつける強い紐がない
布地の切れ端や、カラフルな細糸、いくらでも箱の中には収まっているのに
大型の車が通る度に家の梁が軋む
正月には誰かが空き地で凧をあげる
夜になれば糸を張らない蜘蛛が家の壁を這う
明け方、括りつけた糸が切れて風にのるだろう
それを鳶がじっとみていた
予報通りに雨は降り続くが、地面は揺れているのか、
ぺしゃんこに潰れた躰
おまえが、そっと動きだした。
選出作品
作品 - 20170922_293_9913p
- [佳] ジライグモ - アラメルモ (2017-09)
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ジライグモ
アラメルモ