予め無かった、という意味をたずねなさいと
あてどなく歩き続けました。着の身着のまま、
何も知らないまま走り続けて、欲しかった、その
うつくしい白さに目を焼いていたかった。と
転びながら、泥のなか、あえぐ私を抱きしめて
いたかったでしょう、と言いたかった。あなたは
至らなかった、道を真っ直ぐ、しいて
清潔な直角を踏みしめて欲しかった。そのまま
乗り越えて行く羽は夢だったと、気づいて
欲しがったのは誰だったのか、わからぬまま
知らぬ間に、失効していた期限を前に
あきらめない、白い道をどこまでも、どこまでも
まるで地につかぬような足取り、あるいは羽が
あるように思えた希望、抱きしめていたのは
私ではない、希望を、あなたは抱きしめて
見えない。私は、見えなかった。黙って
白い言葉に焼かれて、うつくしい灰も
ゆるさなかったね。明日の話をして
ずっと、黙って。欲しかった
始まらない、終わりが
続いてしまう、
選出作品
作品 - 20170718_206_9771p
- [佳] 無能 - NORANEKO (2017-07)
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無能
NORANEKO