陰鬱な雨音が窓辺に滲みて
低くつづく唸り声と
さかんな水飛沫とともに
霧中に奔り去る夢の銀輪たち
仄暗い部屋で
目覚めると
突如、
胸に激しい痛みを覚えた
良くない
一日の訪れは
ああ、
確かに。
今、この場所が
――魂の牢獄――
だと、
気付かせる
雨音はさらに強まり//
寝間着の袖で窓を拭き、
外の景色を覗いた
葉を濡らした街路樹は
重く撓(しな)垂れ、
やがて狂った風に吹かれるまま
野獣のごとく暴れ騒いだ
激しい、/薬物の濫用と
閃光の後に/子供たち
鳴り響く 落雷の/青く光る、
音/不可視の眼。
破滅へ導かれても
尚、不確かな明日を信じている
爽やかな夏の朝の始まりが、
――ふたたび
此処へやって来るのだと
誰もが、きっと誰もが )))
千切れた雲が忽ち、
素早く流れては消え
低く、獄舎を覆った妖しい空を
ただ雲は虚しく千切れ
標もなく、何処へと
遠く彼方へと流れ去り
現れては、忽ちにして消えてゆく
盲信しよう、
いつかこの暗い窓辺に
おまえは必ずやって来て
甘く優雅な薫りとともに
艶やかな唇に花言葉を添えて
白い梔子を飾るのを
煌びやかに移ろう日々と、
大きく開け放った窓から覗く
狭い町並みが迷路のように連なり
始終、安穏とした空気にみちて
清しい朝の眺めが、
微塵の痛みもなく訪れることを
選出作品
作品 - 20170615_946_9687p
- [優] 暗い窓辺に - atsuchan69 (2017-06)
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暗い窓辺に
atsuchan69