おじいちゃんにロケット付けて
ビル、運命、野良女、雨、禍々しい怪物
どもを
破壊していく
突き抜けていく
頬に巨大なシミ、右目の瞼には傷がある、この傷はおじいちゃんが母親に出刃庖丁で両断されそうになり、躱した時に、家の柱の角にぶつけた時にできた傷だ、右腕など殆ど動かない。
風圧に皮膚が引っ張られ
輪郭が露わになる
眼球が震え
みかんみたいに、衣服が剥がれる
おじいちゃんっ!?
と、ぼくの予想ではロケット花火よろしく
中空で弾け、炸裂したのちに粉末化するかと思ってたがそうではなかった
加速していくおじいちゃんは次第に
身幅が狭まる
身長は五寸釘程度になる
を経て
高度が上がるにつれおじいちゃんは
凝縮されていく
濃縮されていく
見えなくなった時
思った
そうか、
おじいちゃんだった
になったのか!
選出作品
作品 - 20170526_380_9639p
- [佳] ロケット+おじいちゃん - 北岡 俊 (2017-05)
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ロケット+おじいちゃん
北岡 俊