わたりがにのフィデウアは、僕の恋人
半年に一回くらい、僕と妻は君を食べる
君はいつも白い渚からやって来て
まるごとぶつ切りにされ
黄昏の陽を浴びた二人に食べられる
君を飾る赤と黄のパプリカとセルバチコ
ミニトマトや酸味の強いレモン
そしてムール貝やら烏賊リングやら
ぶつ切りの想い出と朱く茹った腕やら脚やら
君との思い出を僕は妻と共有する
わたりがにのフィデウアは、君との時間
半年に一回くらい、海辺の店であの日を想う
君は、つかの間の日を僕とすごして
潮風の吹く戸外のテーブル席で
こんな僕を、それでも好きだと言ったんだ
選出作品
作品 - 20170523_245_9634p
- [佳] わたりがにのフィデウア - atsuchan69 (2017-05)
* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。
わたりがにのフィデウア
atsuchan69