星の煌く黒い瞳
指先をギターケースに這わせて
あぁ、得た
祝福しろ 鳥 犬 辺りに泣き交わす獣ども
海辺を走る風 山霧
音も無く地表を舐める光線が
静かに ひそやかに 僕を追う
従順な犬のよう
撫でてやろう
うたかたの夢
と
汚水塗れの絶望
ドロップにして
舐め 噛み砕き 飲み続け
今 目を細める
月から生まれ
夜を臓器にして
陽光の温かさに
今 目を細める
得た
届かない
得た
千切れていく指先を庇い
得た
僕は太陽を見つめる
無数の原子核の融合
何億光年の果てに
一時照らされ
干からびつつある言葉の死骸達
僕は干からびたそれを舐め 噛み砕き 飲む
飲む
叶わぬ夢をしゃぶり
幼子は泣く
僕は 得た
痛みと共に
老人は倒れていく
僕は 得た
苦痛と欲望のしくみ
汗と垢でべたつき匂うベッドの上で
まだ見えてない?
凡て、見たいんだ
お前もそうだろう?
もっと深く、深く、深く
深く
ギターの弦は
張り巡らされた電線で
ギターホールは君の瞳孔(瞳孔が穴だって知ってた??)
その音色は月光の滴りで
ら・ら・ら
瞳の照準を太陽に合わせる
射るように
燃える僕の瞳
わかるか?
わかってくれよ
愛してる
祝福してくれよ
僕は 得た
(そして永久に得られない
飛散させろよ)
選出作品
作品 - 20170522_227_9632p
- [佳] ash - 白犬 (2017-05)
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ash
白犬