選出作品

作品 - 20170503_415_9586p

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アイリス(虹は陽に架かる)

  アラメルモ


庭の白菊に水をやりましょう
永遠をすれ違う人々のために
欲望の根を絶やさないように
堕天使の矢を掴み、悪魔が背中で囁いても
霧は沈み、ぼやかされずにはいられない
アイリス
人は虹に出会い
天気雨を予想している
池を照らす丸木橋が耐えている
支柱を支えた満月の夜
きみの影は花弁の芯を写しだす
それは裸体をむしり取る
雲を掴む夢
陽に触れて、虚しさが消え去ることはない

なんときみじかな春よ
アイリス
まあるく輝いた、玉葱の薄い皮
きみのしなやかな腕が微笑に暮れた日を
僕はじっとみていた
陽炎に浮かぶ虫たちの淡い季節
ヒマラヤから零れくる水の冷たさ
日めくりを追うように
寡黙な外濠の縁からそっときみの肩に触れた
その麗しき唇か黒い羽根筋
黄昏に萌ゆる袖紫の撓り
水の底、ただじっと眺めていた
掴むことのない、雨上がりの薄い虹
いつかきみはまぼろしと消え
夢は空へ、夢のままに残るだろう