さくら淡く電燈に透けながら
ほどけるをみる
※1)萬物資始 :すべてのことがこれによって始まる
もこそに馳せた大陸は
※2)気象万千 :千変万化する氣象と風景の変化はすばらしい
帯状に弛む疎水の門をくぐり
あかりまるく落ちるを知る
※3)寳祚無窮 :皇位は永遠である
長等山のトンネルを抜け
四ノ宮の船だまりで時の歩み蒼白に微睡む
※4)廓其有容 :悠然とした大地のひろがりは奥が深く悠久の水をたたえる
飛沫の余波(なごり)山麓に乗りあげ
月光の果てで、時と混じりあう
※5)仁以山悦智為水歓 :仁者は知識を尊び知者は水の流れをみて心の糧とする
※日御山に沓を遺し
陽はのぼり※御廟野に影を縫う
※6)隨山到水源 :山にそって行くと水源にたどりつく
永遠を呼び醒すこゝろの逝くすえは
琴線をかき鳴らしている
わたしは琵琶湖うまれ
わたしは琵琶湖うまれ
季節の袖で風を拭う
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花冷えに春嵐の舞踏をみるを
新緑、水盤に移り映える
※7)過雨看松色 :時雨が過ぎるといちだんと鮮やかな松の緑をみることができる
※8)美哉山河 :なんと美しい山河である為政者の徳と国民の一致が大切である
古都を燈すあかりの配列は
※9)藉水利資人口 :自然の水を利用して人間の仕事に役立てる
※11)一身殉事萬戸霑恩 :明治35年、田邊朔郎、※蹴上に第1疏水殉職者慰霊碑を私費建立す
蹴上に水は京を禊ぎつづけている
螺旋状に編み込まれたねぢりマンポを潜れば
まもなく4000本の躑躅が花をつけているのを観る
※10)雄觀奇想 :それは見事なながめとすぐれた考えである
※12)亮天功 :民を治めその所を得さしめる
我、大陸黄土に霞むをみる
※参考
※1萬物資始
第2疏水 (取入口)
久邇宮邦彦 筆
すべてのことがこれによって始まる
※2氣象萬千
第1疏水第1トンネル東口 (大津側)
伊藤博文 筆
千変万化する氣象と風景の変化はすばらしい
※3寶祚無窮
第1疏水第1トンネル (内壁)
北垣国道 筆
皇位は永遠である
※4廓其有容
第1疏水第1トンネル西口(藤尾側)
山縣有朋 筆
悠久の水をたたえる
悠然とした大地のひろがりは奥が深い
※5仁似山悦智為水歓歡
第1疏水第2トンネル (東口)
井上馨 筆
仁者は知識を尊び、知者は水の流れをみて心の糧とする
※6隨山到水源
第1疏水第2トンネル (西口)
西郷従道 筆
山にそって行くと水源にたどりつく
※7過雨看松色
第1疏水第3トンネル (東口)
松方正義 筆
時雨が過ぎるといちだんと鮮やかな松の緑をみることができる
※8美哉山河
第1疏水第3トンネル (西口)
三条實美 筆
なんと美しい山河であること
為政者の徳と国民の一致が大切との含意
※9藉水利資人口
疏水合流トンネル (北口)
田邊朔郎 筆
自然の水を利用して,人間の仕事に役立てる
※10雄觀奇想
ねじりマンポ (南側)
北垣国道 筆
見事なながめとすぐれた考えである
※11一身殉事萬戸霑恩
田邊朔郎 筆
明治35年 田邊朔郎が私費建立した第1疏水殉職者慰霊碑(蹴上)
※12亮天功
第2期蹴上発電所 (入口)
久邇宮邦彦 筆
民を治めその所を得さしめる
※日御山
京都府 京都市山科区にある山の名前。(天智天皇が行幸した折「日の山」と 名付けたことから「日ノ山(日御山)」呼ばれている。) 京都で最古の宮「日向大神宮」がある。
※御廟野(御廟野町)
京都府 京都市山科区にある地名。天智天皇陵がある。
※蹴上
京都府 京都市東山区にある地名。蹴上浄水場や蹴上インクラインがある。
選出作品
作品 - 20170410_990_9545p
- [佳] 琵琶湖疎水扁額史會 - 北 (2017-04)
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琵琶湖疎水扁額史會
北