小鳥には手がない
叫びをくりかえし
霧の中に影をひいた
白い服を着たわたしの前でパンをたべるな、
最初におまえのくちにのせるな
たとえ噛むふりだけして満足したとしても
おまえの唾液はなぐさめてくれる
おまえは何を恐れて夜を過ごすのか
おまえに夜明けが訪れ、
明日とはいかなるものに似ていたのか
在るものが(常に)成功し給い
おまえは(常に)失敗する
おまえの語る言葉と
在るもののなし給うこととは別である
「われに悪しきことなし」とは言ってはならない
秤に手を加えるな、重さを偽るな
その唇はあまく、舌は冷たい
人をむやみに尊敬するなら、その手を求めるな
おまえのために働け
おまえのために働け
手を休めるな、
今日は、気分がいいからなぁ!
選出作品
作品 - 20170403_855_9535p
- [佳] 貧困における呪縛 - 深尾貞一郎 (2017-04)
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貧困における呪縛
深尾貞一郎