望み、儚く
残す轍 遠い道程
荷の重さつらく
そぞろ立ち止まっては
見上げる空の哀しみの果て
日ごと、無惨に、
鞭で打たれる、背の
痛みさえ忘れるような
僕(しもべ)らのゆめ、
また夢のゆめ
艶めく花に狂う、
春の野を駆けめぐり
いつか散る瞬く間の色
ふたたび、冬
永い、ながい静寂――
薄墨の空を舞う、
白くつめたい六花の
勢い吹雪く枯野に
罪科を載せた荷車を牽く
凍える手指、埋れて
やがて溌剌な
若人の声が虚空にひびく
湧き立つ山あいの霞
深雪をも溶かし
春の風そよぐ 幻
※
ゆめ、夢でなく
曖昧なことばに心託して
なおも修羅の轍をゆく
忘れられた人々の祈りが
不義の舌に火を燈す
深々と降頻る花弁雪が
吾等の咎をやさしく覆う
火炎で焼かれる、背の
深き淵の灼熱の裁きさえ和らぐ
穏やかな春の日を待ち望んで
幾たびも、
幾たびも、
冬。
選出作品
作品 - 20170221_403_9450p
- [佳] 六花 - atsuchan69 (2017-02)
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六花
atsuchan69