早くあのこに追いつきたくて
よそ行きのぼくに/を打つ
きゅうりのピクルスを刻むように、こまかくこまかく
おいしいサンドイッチができたら
コーヒーをクロスプロセスに加工して
いつもの味
早くあのこに追いつきたくて
だれかれ構わず寝る子のように#を打って
「なんか面白いことしましょう」と言ってみる
「一人ひとりテーマを持つ。そして世界は少しずつ、素敵になるの」
と、あのこは言うけど、
ぼくには生きている実感しかなくて、生かされている気がしないんだ
いろいろあって、ぼくはここから動けません
今頃あのこは夜明けのビーチで
いま、ここ、わたし、に向き合いながら
林檎を相手に自慰行為をするのだろうか
そのあと
赤ら顔のおじさんが大量に流されて木星の大赤班のようになった地点をgoogle earthでチェックしている姿は
何となくだが想像がつく
あのこは自由に恋をするより、たたかうほうがすきかもしれない、本当は
すべての武器を楽器に(註)変えたら
そいつであのこと殴りあおう
これでぼくらは
やっとおあいこ
註)喜納昌吉『すべての武器を楽器に』(冒険社 1997)
選出作品
作品 - 20161110_888_9258p
- [優] west coast - どしゃぶり (2016-11)
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どしゃぶり