ぼくは
雑踏の中に
不安を抱きました
雑踏の中からゆっくりと
せり上がってくる 何か
透明な 頭
冬
青空は 涼しげに
ボールの影を 遥か彼方の
小さな町に 投げています
ふいに
コンクリートの壁に
足を止め
氷のボールを
触るように
顔と肩が
ひりついています
あの日
お父さんは
青空に 倒れ落ちました
来る日も来る日も
ぼくは
雑踏の中で
何かを気にしながら
生きています
選出作品
作品 - 20161104_374_9235p
- [佳] 氷 - おでん (2016-11)
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氷
おでん