改札口のむこうに
家路があり
台所ではコンロが
火を保つ
雲がおしつぶすような
屋根のしたの暮らし
一人でいる時間はながく
短い諍いをくり返す
腕が枝になり
折れ引き裂けて川べの
夏草はことごとく枯れ
地面に伏せたばったの
顔があがる
今日になるごとに
明日のことばかり
かんがえる外のことは
わからなくなった
いつかかやつりぐさを
逆さまに持ち
かけ回るいつまでも
消えることのない火花
選出作品
作品 - 20161019_696_9194p
- [優] 宿り - 軽谷佑子 (2016-10)
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宿り
軽谷佑子