夕方、祭りは夢を孕む
透明な小さな袋の中に
少女のすくった金魚が四匹在る
少女がその袋をあまり揺らさぬよう
ていねい祭りから去るところを
神が見ていた
今朝
目覚めると水の中だった
水と水のぶつかることは
水の中にないのだと知った
(勘違い、かもしれないけれど)
わたし
あなた
かれ
かのじょ
それを見つめる少女はわれらの
比喩か
それら少女を含めたわたしらを
神が見ていた
そしてその神をふくめたわたしたちを見つめるものが
誰かが わたしには知れなかった
白夜
白夜が、夏の季語であると知ったのは最近
この語がほんとうの白夜を示すものなのか
比喩としての白夜なのか
私はそのことを知る為に検索エンジンを使おうとは
思わない
? 何の話か
検索エンジンに昔の友人や恋人の名前を
打ち込んでしまった過去は そこにとどまり
陽は夜にあってもずっと、ずっとそれを照らすのだ
恥ずかしい
果実のように恥ずかしい
でももしもあなたが元気でいたらと
そう祈りつづけつつ
何か他のことをしています
只の夜
川はまるで時間のように流れるが
口語自由詩の内在律か
うねりブツかりおじけづき、切れ
川に流され運ばれて導かれることは
あなたを導くことになるのだとしたら・・・そんな大仰な!
わたしらの哀しみを 怒りを
この川一本のさびしさの中
( ──まっすぐな道でさびしい 種田山頭火 )
ネガティヴを
オルタナティブにできるかな
神の力でなく
その神を上から見つめるなにがしかの力でなく
わたしの
弱さという
ただそれだけの
はかなくつたなくしどけない力で
選出作品
作品 - 20160705_502_8939p
- [優] フラジャイル - 田中恭平 (2016-07)
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フラジャイル
田中恭平