ぼくは楽しい、七日間あが降りつづいて、あに濡れた手のひらのなかでうはちいさな羽を震わせていた、八日目にようやくあが降りやんで、晩ごはんの仕度をはじめたぼくのつに、これはうか?と尋ねる、すると、だに立っていてわからないわと言われた、今はたのことも心配だからと続けて、だから出てこようともしなかった、ぼくは右耳がとくに楽しくて、良く聞こえないのは、あが降りつづいていた時からだと思っていた、手のひらのなかでうを温めている晩に、ずぶ濡れのたが帰ってきた、降りつづいたあが池をひろげてみずうみになった公園の、べに座り、ほを見上げて、しについて考えていたと言う、しについて何か思いつくと手のひらのような空からほがおちてきて、あのようだったと言う、そんなことよりと、ぼくが手のひらのうを見せる、とても楽しい晩で、またあが降りはじめていた、あけていた窓からあの匂いがてを差し入れてきて、あの匂いがするねと、たとつはうをやさしく撫でている、
胸のなかでつめたくなった話ばかりが凍える夏、空へと放たれた、ひたちの影が、ぼくの目を突き破って、肋骨の内側まで滑り落ちる、氷づけになったのは、やむを得ないのかもしれない、啄むものはないのか、啄まれたものはないのか、ひたちの影もつめたくなれば、羽ばたくことは、影の痛みを伝えるばかり、
選出作品
作品 - 20160604_184_8865p
- [優] (無題) - ズー (2016-06)
* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。
(無題)
ズー