砂漠でな、雨に殴られながら
明日まで来ちまった
火の玉は魚の群れの
転寝に聴こえて
蜃気楼を消し去るんだ
銃声が日付を飛び越えて
腹と背中を引っ付けちまう
氷河のような目だった
音ひとつしない
何も溶かさない
花のような澄んだ黄昏だった
あることとないことが
ひとつになって生きたり死んだり
血が止まると
心臓が脳みそを鷲掴みにして
がんばろうなんて思う暇なんかない
努力した時点で
オーバーヒートするって魂胆
皿の上で火がのたうちまわって
油を焦がし尽くした頃には
この始末で深い夜のまま
石でも食おうか
生きていた証みたいなもんさ
選出作品
作品 - 20160406_745_8740p
- [優] 供物 - 北 (2016-04)
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供物
北