選出作品

作品 - 20151109_347_8415p

  • [佳]   - れたすたれす  (2015-11)

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  れたすたれす


屋根のある球場も珍しく無くなった殻がない現実だけで殺戮され続ける軟体は
別にナトリウムをパラジウムと交換したところで 強いられた罪が軽量される
とは考えられもしない 腐った根茎野菜を貪った2時間後 人参色の糞を吻か
らソーセイジのように搾り出す頃 夢の球宴も終わってしまった それにして
もボリビア旅行から帰国したはずの 友人から貰った空の殻の化石の値段はな
ん垓だったのだろうか 自然の階梯は途方も無い地層を積み重ね登りつめなく
てはならない 地球上で生産されたウエハスの総数は植物細胞に内包されてい
る葉緑体の層状構造に起源を持っている 休日には緩んだ銀歯を惑星に落っこ
とす ロマンスグレーが若さと整合しない政治評論家はネットラジオで熱弁を
奮っていたががん細胞の無秩序な増殖にはなすすべも無く身体と言う己の魂が
唯一宇宙にて宿っていられる領地を 早朝明け渡さざるをえなくなった 父の
最期を看取った二人の娘は 広大なキャベツ畑から一房のキャベツを掘り出し
二人の両手で持ち一気に引きちぎった ちぎられたもぎたてのキャベツの半分
は二人のペットのカタツムリの朝食になり 半分は完全な棺の中の父に供えた