「雨の庭」
墨の絵を描く嬰児が
天照る水に
その掌をかざす
庭の雨に立ち
空は、なぜか
晴れ渡っていた
肩に触れる小さな羽根の
それは、鶉の羽だった
頭脳の明晰な鶉の卵の小さな顔
僕の肩にいつも乗っていたんだ
同じ産着を着せ、
四つ手の體が
拭われた赤子
墨の絵の庭咲く萩の花
白く黒く手足の花びらばたつかせ
雨粒は細かく弾き
突風が時折
雨を割り砕き
庭の雨に立ち
空は、しかし
晴れていた
、、、、、、、、、、、
雨の庭の庭の雨を長く心に刻んで、日暈(ゲンウン)の真昼の風、そは男の代名詞である。
落葉は散る庭をカサカサ舞い込むすなわち女の代名詞である
振り向くなく、仰向くなく、赤あく頬を染めた楓よ、貪婪の星星が降り注ぐ御影石、全ては女の代名詞である
幾多の生きた人間を、りんりんと照らして踏みなりす化野の、自分のなしことをも自分でなくともしないまま、石仏八千体に、己が大地に疼き、表皮を脱ぎ捨て、身を寄せていた石たち。
選出作品
作品 - 20150827_328_8265p
- [佳] 痘痕の雨の庭に佇んだときのこと - GENKOU (2015-08)
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痘痕の雨の庭に佇んだときのこと
GENKOU