プロペラは自作の
とても粗末なものだったので
すぐに壊れました
あいつらに砂を噛ませることが
僕の願いだったので
むしろ喜ばしいことでした
これから幾度となく
罵声を浴びせられるでしょうが
僕はその真ん中を突っ切って
駅へ向かうでしょう
そしてホームからするりと降りて
線路の中をずっと歩いて行くでしょう
1キロほど離れた
トンネルを抜けるまでは
続くと思います
そしてあいつらを振り切れると
判断したら
列車に出くわした瞬間
線路から茂みに飛び込んで
雲隠れ
そのままのうのうと生き続けるでしょう
粗末なプロペラは壊れました
僕はそれだけで満足です
選出作品
作品 - 20150720_447_8200p
- [佳] 粗末なプロペラ - アルフ・O (2015-07)
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粗末なプロペラ
アルフ・O