選出作品

作品 - 20141107_629_7738p

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雨上がりの夜

  破片


夜更けすぎ、雨は上がった
おはよう、
と、まろび出た月明かりに
夜は青くにじむ
星がいっそう燃えさかり
微かな苛立ちとともに
瞬く、消えそうな輝き、
遠くで風が鳴って
影絵の学校の門が鳴って
通り過ぎた足音が
ふたたび鳴って、
ゆるやかな勾配のふもと、
てっぺんのその先は見えない
見なれた道の続きが
とりのぞかれて
切り立っている
そら寒いほど白い
光がわだかまり
浮かぶ夜との繋がりを
引き裂かれて、できた
空白を埋めるために
あそこの中空を漂う風
だんだんと、
道の先から削られて
悲鳴は音を高くし
月明かりと、作られた光と、
溶け合って
ただ正面に見据える
空白だけが変わらず、迫り
誰も通らなかったはずの路地
縞模様の野良猫へ
兆すはずのなかった動揺
ここは、どこにでもある
果ての一歩手前。