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作品 - 20140729_329_7568p

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欠損(再度)

  にねこ

裂き、はしられる
との、文言がゆるやかに伝達されていく、それを私は読むのだろう、1時間後、或いは一週間後、とき、ほぐされていくのは、許されたなにか。
 犬の声がしたと思って、振り返る。そこには何も居ない、水たまりに油が薄く広がり、虹色が縁を離れた。
  流木を刻む音が、太ももを滑り
 虹色が縁を離れた、円形であろうとする弱さを、私達は球体にもなれない背骨に抱えている、ほんとうの姿は、分裂すらも起こりえなかったその時、二人がまだ出会わなかった時、夕陽が落ちたのにも気づかない、雲の細さ、
  仕込みの朝は早く、ことの終わりを
                  告げる光こそ、にくければ
 送られるべき手紙、透けて見えたその向こう、或いは付着した香りの静寂、問いかけられるべきは金木犀のある風景だろう。そこに私はたしかにいた。ふるい瓦葺き、いく世代もの雪を凌いできたその欠けた場所に嵌る答えを探していく、ひらひらと咲け、
 見失いがちに潤っていく、季節の花よ、
心音、永遠と付き合い続けなければならない汚れていく音と、隙間を探すように流れ続ける川の滔々とした行く末を接着する、繰り返す
 塗布、膿んだ患部が、痛む
  、さざなみ
つま先を濡らしていく、誰もしらない時間には、そこにわたしは居なかった、伸びすぎた影が爪の先の白さを割る、ぎざと赤い筋をつけていくために 
 しらず、私達の影が、薄く傷つけたのは手のひらの中で祈りを転がすあなた達ではないはずだ、
棘蛾の繭が固い、そこに穴を開け笛にする ((吃音に紛らわせた、影法師
父もまた、行っていただろう、その裂け
声に出して、私はよむ、声に出して、声に 
戻っては来ない 切手ははらない 。

文学極道

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