海のない手のひらの庭
土を踏む三脚の椅子
雪、重なる雪、そのあいだに
燃えるものがあるなら
空白を焚きつける
指先の罪悪を冷たい鍵にする
小さな灯りに目を細める
たったふたつの隠微な痙攣
光、降りる朝に遺された爪痕
重なっては崩れる雪片
堆積する間もなく滅びてゆく
か細い陰影だけを残して
いつか肘掛けに置かれていた
精悍で滑稽ですらあった腕
健全な重み、溢れていた緑
その陰で交わされた対話
舌先に遺された発音
繋がらなかった対話の描線
回遊する雪虫が
白い風景に溶け込んでゆく
人の形象が夜を演じる
星の口唇術が指先を誘う
窓の向こうから
手のひらを見せながら
網膜にひろがる街
あたらしい椅子の匂い
まだ雪は、届けられたばかり
声は失ったばかり
選出作品
作品 - 20140305_978_7346p
- [佳] 星座的布置 - sample (2014-03)
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星座的布置
sample