選出作品

作品 - 20130218_728_6706p

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わたしはヘルメスの鳥。わたしは自らの羽を喰らい、飼い慣らされる。

  

風を振り出しに戻す始原の虹でもってわたしの羽を何度でも漂白してください
気詰めた風景に寄り添うかたちで光線的なフォルムを暴き続ける
振り乱したメランコリアがどうしてもついてこれない速度をください

わたしの声帯を奪う光にきらやぎながらあなたは土気色の体躯でもって
ありとある風に愛されなかった生命の一つとして、その
しなやかでない稜線で死せるべき生を精一杯の輝きで装飾してください

神々と死すべきものの一つの境界として生きるものを装飾する
その「飛ぶ」と言う文字のfとlがいつまでもわたしをわたしというわたしから
置き去りにする(flie floh flie floh)

(自らの体躯を喰っても蛸は死なぬ  (蛸の自殺 小林秀雄
 死は死への抗体だよ         (転落  カミュ
 )))

死を孕む羽がどうしようもなくわたしを殺すことでもってながらえる
非-詩としての大文字の「I」がいつしかfとlで震える舌先をとらえて
わたしはわたしというわたしから飛び去る術を無限に忘れてしまう