海沿いを走っていく列車、
やわらかい
頬骨をこすりつけて
栗鼠たちは火花の散る
なだらかな
夕暮れの背骨を齧ってしまう
今、とっぷりと
沈んでいくんだよ
あたたかなものたちが、
人差し指の先に
浮かぶ列島のみどりが、
虹彩に定着して
迷い子のちきゅうは
冬の軌道から逸れていく
降りしきる雪のつばさは
春の拍動をやさしむために。
あるいは、
軋むレールの冷たさで
水底に
骨の王国が建てられるように
また、
生まれてくるんだね
かるい水茎を
束ねて
あなたの背より高い
チェロの音が流れ出してる
選出作品
作品 - 20121102_319_6444p
- [佳] 冬の虹 - yuko (2012-11)
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冬の虹
yuko