選出作品

作品 - 20120820_513_6282p

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眠れる森の痴女

  大ちゃん

CHAPTER 1
痴女と野獣
 
              ヨーロッパの某所

大気汚染による                          その間を縫って
酸性の雪を浴び続け                      一台のクール宅急便
立枯れた針葉樹の森は                    ヘッドライトはハイで
漆黒の闇を灰色に                       林道を飛ばしている
薄化粧していた

              飽きるほど長い間
              アクセルを踏み続けた
              ドライバーの目に
              やがて
              届け先である
              「城」が見えてきた

                                  城の車寄せで停車
                                  彼は素早い動きで
                               荷物を台車に乗せ運ぶと
                                 白い息を吐きながら
                                 ドアホンを鳴らした

             「宅急便です。クールで届いています。」


              しばらくすると
              ドアが開き
              全身毛だらけの
              野獣のような男が現れた

                                  男は大きな木箱を
                                 軽々と担ぎ上げると
                             再び城の中へと消えていった

             「ダンケシェーン。毎度おおきに。」

              城への配達は初めてなのに
              「毎度」などと軽口を叩く
              日本の関西人的なノリの
              運転手は足早に去って行った


城のインテリアは
貴族趣味で統一されている
まるでルキノ・ヴィスコンティの
幽霊でも漂っているようだ

              野獣はテーブルの上に
              「痴女の宅急便」と
              書かれた木箱を置いて
              無造作に板を割り始めた

見ると体格の良い                               野獣は
東アジア系の中年女が                       痴女を起こすために
全裸で豪快に鼾をかき                          説明書通りに
棺桶の様な木箱の中                          キスをしてみた
仰向けに収まっていた

              すると痴女は
              パッチリ目を覚まし
              木箱から飛び出すと
              野獣に手を回し
              激しく舌を入れてきた

         [おお、これが痴女か。トテモ良いものだな。」

              痴女のデリバリーサービスを
              初めて体験した野獣は
              夢見心地になった
                 
              ねちっこくベロベロと
              プレイを楽しむ痴女と野獣
              お互いの歯槽膿漏の血膿すら
              残らず吸い上げた挙句
              急にキスを止めると・・・


CHAPTER 2
東洋の痴女


              痴女は野獣の股の間の
              鬱蒼と生えた
              毛をかき分けて
              そそり立つ陽物に
              しゃぶりついた

腐らないはずの                           そんな異臭を放つ
カスピ海ヨーグルトが                     チンかすフォンデューを
それでもなお腐ったような                        おいしそうに
                                   舐め尽していた

              彼女の口の中はもう
              白いものが一杯に
              溢れかえっていて
              グチャグチャと
              泡を吹いていた

汚れていた                             これを見て痴女は
野獣のマラは                             野獣を押し倒し
見る見る                              胸に両手をつくと
殻を剥いた                             8段もある跳箱を
ライチの実のように                       飛び越すような姿勢で
瑞々しく                             足を大きく開脚した
艶やかになった

              そのまま狙いを定め
              黄金の蜜壷を
              ドスンと
              野獣の道祖神めがけて落とし
              騎上位でグラインドを始めた

            「うあああああ! 南無妙法蓮華経。」

東洋の御経を唱え
快楽に身悶える痴女は
鼻血を流している

              あれあれ?
              おやおや?

    (不思議、不思議、野獣はみるみる、美しい王子へと変身して行きました。)

薔薇の様に美しい王子
これまた美しい声で
          「ありがとう、痴女さん。おかげで元に戻れました。」
          感謝を述べたのだが・・・

                                    その時なぜか
                               王子に被さっていたのは
                                  人間ではなかった

              マウントポジションの
              いかついメスの大猿が
              突然無慈悲にも
              左右のパンチを
              王子に浴びせ始めたのだ

              ワン・ツー
              王子失神

              スリー・フォー
              王子昏睡

              ファイヴ・シックス
              王子死亡

              人外の野蛮な暴力の前
              ついに王子は
              帰らぬ人となってしまった

人肌の                                欲求不満なのか
ぬくもりが消えて行く                        不機嫌な顔をして
王子の華奢な身体に                      胸でドラミングをすると
不服を感じた大猿は                      王子の亡骸をつまみ上げ
ウンチングスタイルでの                       首を捻り脊髄ごと
交尾を止めて立ち上がった                    引っこ抜いてしまった

              ドアを蹴破ると
              葉の一枚も残っていない
              立ち枯れの森の中へ
              雄叫びを上げながら
              消え去って行った

              ウホウホウホォォォ


CHAPTER 3
奥様は痴女


              以上が
              私の母のプロフィールです

その後                          こちらレイクサイドホテルの
十月ほどたって                            フロント玄関で
私は生まれました                          小さくなった父の
                           シャレコウべ脊髄ステッキと共に
                                捨てられていたのです

              私としては
              誠意を持って
              包み隠さず全てを
              お話したつもりです


このお見合い
よろしければ前向きに
考えさせて下さい

                                   あれれ?待って
                                      ちょっと
                                 ちょっとどこ行くの
                                 あんた逃がさへんで

              レスリング女子超級
              元欧州チャンプの私
              走り去ろうとする
              男の首根っこを掴み
              頭上に持ち上げ
              ボディプレスで落とすと
              神速で馬乗りになった

              力が漲ってくる
              荒れ狂う私は
              無慈悲にも
              左右のパンチを
              男に浴びせかけた
               
              ワン・ツー
              見合い相手失神

              スリー・フォー
              見合い相手昏睡

              ファイヴ・シックス
              見合い相手死亡

                                          

「ふざけんなよ!若造。」                          そのとき
私は叫んだ                             ホテルのロビーの
四の五の言ってないで                     アンティックな大鏡には
黙って私と結婚したら良いんだ            怒髪天にも昇りそうなメスの大猿が

              こちらを向いて
              ガンを垂れていました

              ウッホホホホホー