選出作品

作品 - 20120801_197_6247p

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ファミレ

  cuervo


美しいものはそのまま美しく、そんなに美しくないものは、そのように。
すべてのものがそうあったら、いいな、と思ったんだった。

ミミドラファ意味もなく、悪意に敏感なときってある。真実はもう地球の何処にも埋まっていないと、世界地図を広げて思ったりする、子午線をくすり指でなぞる。あなたが考える、いちばん、柔らかな言葉で、あ、あ、あ、って、口のかたちを、壊さないまま、息を、ゆっくりと、吐き出してください。それが宇宙の苦しさですよ。みたいなさ。真空蒸着?シロップがわだかまるアイスコーヒーみたいに。固形で、すこし寒いよ、夏なのに、あんなにも夕暮れの視界は溶けたのに、寒い、子午線が痛いよ。そんなのに比べたらカラスのほうは、いかにもやさしく世界を積み重ねていくんだ。

悪魔!に!さらわれてしまえ!と、おっさんがダッシュしながら、叫んでた、みんなおっさんのことを、残念なひと、あっちの世界のひと、とかいっていたけど、残念なあっちの世界って、どこですか?おっさんは裸で、ときどき踊って、くたびれたハットに、お金を投げ入れてもらう。銀貨ならにっこりする。金貨ならうねうね、踊る。紙幣なら、うねうね、踊りながら、にっこり。おっさんはそれで林檎を贖う。林檎でお腹が一杯になったら。おっさんは街路へ駆け出す。あの教会の鐘の音よりもしなやかに。夜の賑々しさを守るように。おっさんは叫ぶ。罵る。「悪魔に!悪魔に!」影を深く、深く刻みつけていく。でもおっさんは全裸だ。ねえ、おっさん。アーメンなのですよ。残念なあっちの世界に幸があらんことを。あまつさえこちらの世界には、不幸が溢れてる、らしいから。

ミミドラファいつからか、みんな仮面をつけてる、ここは、不思議な街だ。海も、川もないのに。ちょっと沈んでいる。「呪いですか?」と尋ねてみよう。町人はハーモニカで、生きるってことは罰ゲームじゃないです、罪を探したいなら、スペースシャトルにでも乗れば?と答えます。ソソラシドレミソファ。罪と罰。○と×。誰も。ほんとうに誰も。ソソラシ。ドレミファ。悪魔。「どういう風に生きればいいんですか?」と尋ねてみよう。ファミレと答えるだろう。ファミレ?「うん」喋れたのかよ。