選出作品

作品 - 20111215_437_5761p

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冬にうまれて

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襟を立てて
子宮に還りたいと
手折られる関節
いつか窓から
来訪した譜を
爪弾いた
罪人を、外套に
収容する

風力発電所が
洋上に向ける
鋭い、まなざし
交差点に
突き刺さる人々
黒い装いを好み
うしろ髪の
波間に
共鳴する音叉

犬のように
歯牙を持つ鳥が
落葉樹をゆらし
季語をかじっている
綿いっぱいの
食べこぼしが
くちばしを持つ
犬の前足に
降り積もる

マッチ箱の村は
少女の
手の平の上で
焼き払われて
しまったのですね
オオカミの正体は
暖炉の
火影、でした

夜にかけて
寒さは強まるでしょう
輸入煙草に火を灯し
口元をおさえた指先
白い壁のむこう
冬の朝に
僕はうまれた
ふいに転げた
咳払いのように