そう、
散らかった部屋
断片ばかりが積み重なり
ふいに背中
ぱっくりと、裂けて
僕の半身が
生まれる
夜に
羽ばたきの音が聞こえるか
暗がりで数を数えている
だれかの
指がたえまなく
折られ、
開かれ。
背中に
子午線が引かれ
地図上を
広げられ痛む羽で
教えてあげる
僕たちは二人ではない、
一人にもなれない、
腱と紐が
断たれ
崩れていく線形
はずされた意味のくびき
きみが生まれた日に
両親は雪像になった。
流れ出した血が
氷片を溶かして
飛び立とうとする運動の
間隙を
混じり合って流れていく
ぬらぬらとへばりつく
痕跡に
まなじりを決して
暗がりで数を数えている
だれかの
指がたえまなく
折られ、
開かれ。
質量だけ
くぼんだ部屋
流れこむ密度
断片を軸索にして
点滅する
血しぶき、
羽ばたきの影を裂いて
きみよ、
両腕を重ね
その骨を折る
視蓋にぶらさがった
嘘のような生き物の
生まれ
落ちていけ
選出作品
作品 - 20101124_342_4854p
- [佳] 風切羽 - yuko (2010-11)
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風切羽
yuko