古ぼけた
街並みは静かで
ここでは
失われたものばかりが
とても美しい
夜のほとりを歩く
わたしは白い服を着て
広場には
踊るひとがいて
その中央には
赤々と火が燃える
わたしは
髪を切り
投げ込む
それが燃えるのを眺めている
ここには
昼がなく
炎のリズムが
いわば時間であった
広場を越え
どこまでも続く街灯が
通り過ぎるたび
消えていく
そして失われたものたちが
ふたたび失われ
それはいつまでも美しかったと
白い髪のわたしは
言うのだろう
選出作品
作品 - 20100607_176_4445p
- [佳] 式日 - yuko (2010-06)
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式日
yuko