選出作品

作品 - 20100318_614_4261p

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あなたは空の白鳥で、衛星があなたと僕を見ている

  右肩

机 と 机 の間に波 を曳き
 夕暮れ オフィスか ら泳ぎ出 た
白鳥の翼が 鴨や おしどり の 群れ から
 離れる        それが あなただ 
誰 の 耳 にも羽ばたく 音
空が
 またもや青い
 冬晴れ 
を残し
歩きながらしきりに振る
 首は
地上を 見はるかす鳥
 の仕組みに
 どこか
 しら 似る
  その あなた
 街のマップを
大股で突っ切る
 あなたが歩く 道す じ
それは
 航路 
と呼 ぶ のにふさ わしく
地上の人は
 皆 
死ぬ
濃淡 ある 死の   モザイク

あなたは
攻撃的に
 孤立し
 突っ切って
いく


語ろう、明日を。雲の背後を回る太陽が、雲の輪郭から光を放ち白い。僕は人に愛されない。ガスシリンダー式昇降チェアを低くセットする。事務机の前、背中を丸めている。A4の用紙に、鉄の罫線が格子を引く納品書。インク。その輝ける黒。黒の断片。断片がとりとめなく黄道に連なる。僕は空から零れて今ここにいる断片。きりきり苛まれている。だから明日を語る。服を着ているときばかりではない。裸のときにも明日を語る。裸で歴史の底に落ちている。そこは激しく乾燥しているので、僕は目を見開いたまま、決して腐敗しない。硬い底に、誰かの踵で頭を踏みつけられていたい、いつまでも。そういうことだ、明日を語るとは。


美し い とは ひとり で
 生き 抜く こと か

そうか

ひとりで 生きるもの を 衛星

 見て いる 翼ある ものの
 生きざまを翼なき もの の
生きざま  を
 ホーロー の 白いなべぶた
のような空 を 白鳥 が たどるうちに
 や や あ っ て
あなた も あなたのゆくえが
 わから なく なる
僕  を
 知ら なくなる 僕  も あなたを



地上の希望 を 占 有 し
 衛星が見ている