選出作品

作品 - 20091210_112_4017p

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金曜日のフライデー

  りす


遠くで
水を使う音
遠くまで
水を遣わす者
その正体は
もう少し浅く
眠らなければ見えない


フライデー
金曜日の絶壁に立つ野蛮人
孤島に時間は溢れ
過剰な時間はロビンソンが喰う
喰いきれない時間が
フライデーを追いつめる

フライデー
金曜日の資格がない野蛮人
孤島に言葉は溢れ
ロビンソンが食べ残した言葉を
フライデーに教える
頭を抱えたフライデーが
姿勢良く 断崖から飛ぶ


遠くで
水を使う音
近くには
さらさらと病の糸屑が集まる
鳩尾の入口がいつになく涼しい
愁訴が終わった体で
そろそろ何かが始まり
そろそろ何かが終わる


フライデーのからっぽの頭が
浜辺にうちあげられる
太陽光を浴びて
高透明ポリプロピレンのように輝く
この島の海岸では
水でさえも
不純な漂着物にすぎない


そして
四人目のフライデーを
フライデーと名づける
何も教えず 
一緒に暮らす