光が、
そこかしこに、
砕け散る正午の、
潮を孕んだ声を、
返した。
燻る先端が滲み、
煙は、塩水に、
溶けて、
破片は目にみえず、
血が流れる、
僕には、見えない。
花のような、
頬だった、
直視できず、
木陰に逃げ、
抱いてもらった。
掻き抱く、
無数輪の香り、
よりも、きみは。
眩い、一条で、
白い太陽は、
ひろく、まろび、
その中で、
破片は深々と、
みえずに。
煙もろとも、
揺らぐ、
揺らぐ。
空っぽの、
圧する青は、
焦げた防波堤から、
歯軋りで、
高く、
浮かばされ、
ねぇ、きみ、
この両手では、
送れないよ、きみを。
潮含みの声を、
ここから、
投げつけて、
指の間、するりと、
落ちた火、
僕の背にわだかまる、
言葉、
思い直して、
吸い殻を、拾い上げた、
きみと、
同じように。
選出作品
作品 - 20090613_979_3589p
- [佳] 友人、夏にて - 破片 (2009-06)
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友人、夏にて
破片