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作品 - 20081227_311_3226p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


ショートムーヴィーを中古印刷機で踏み躙るまで、家を失った少年に告ぐ(矛盾するすべてのものへ)

  ふう

プロモーションビデオを撮影しようと眼球を黒に染め
あああこのまま僕は死のう
それでいいのだと現場監督がぼくに告げ僕ははいおうせのままにと
首輪をかけた犬を窓から放り投げたのでした
君はそのまま閉じきった部屋を燃やし
脆く崩れやすい幻想を緻密に解体するのである
ホームではひざを破いた青年はあやふやに僕を見て
それから僕の属する全てを一瞥し恥ずかしそうに笑った
連想されうる全ての中から丁寧にその隅の埃を払い
そこから何か出てきたら我が物顔で一言 これが創造ということだ
僕は吐き気がする 蓋をした便器をもう一度左手で開け右手で力まかせに殴り飛ばす
この箱庭は手垢で幾重に穢れてしまった
乗り換えるにはやり直す必要がある
こんな具合でシーン18に移行したところで僕は席を立ち
地面を掘り続ける一人の作業員に聞く
出られそうにないよと答えるので僕は悲壮感を滲ませた
それは公共の挨拶みたいなもので意味性を微かに持つみたいだが
僕はそれを感じることがない
空は靴墨で妖美に輝く
端から腐ってゆくのだと誰かから聞いた
出来るだけ高いところへと誰かが手紙を書いて
受け取り人は配達人を抱擁し、nothingと呟いた
階段では女子高生の群棲が空を見上げたまま帰って来ない
しがみつく手を払いのけ 最後のパンを犬にやったところで
意識をぷつりと啄ばんだのが誰か知る由もない
慣れてしまえばどうということはなく
金庫はいまだによく売れると笑う新聞家に
描くことを止めた美術家はその妻にキスし
そして僕らは世紀末に生きるのを諦めてさっさと支度をする
さあまだ始まったばかりの特急列車に乗っかって
停車するまで馬鹿騒ぎしよう
君はワインしか飲めないんだったね 僕もなんだ
更けてゆく夜の渦に飛び込んで 停車するまで馬鹿騒ぎしよう
僕はダッシュボードに鞄ほどの夢を積んだ

文学極道

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