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作品 - 20081223_287_3222p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


時折の笑い声が、そして

  Canopus (角田寿星)



草はらの草の丈が少し低くなった窪地に
テントは立てられて
そのかたわらに
とうもろこしの絵がかいてある木箱
寄り添うように ふたつ
上には座布団が縫いつけられ
厚手の膝掛けが
かわいた風に旗めき
それに向かいあうように
木箱 もうひとつ
8インチのトランジスタテレビが
あたりをおだやかに照らし
司会者の絶え間ないトークに
時折の観衆の笑い声がひびく
つい先ほどまで先住民の老夫婦が
寄り添うように ふたり
木箱に腰をかけ
だまってそれをながめていた
時折の笑い声が
彼らの顔を煌々と照らし
かつて焚火や昔語りやギターが担った役柄を
テレビはじゅうぶんにはたしていた
老夫婦は
崖下の厠にでもいったのだろうか
連れだって
しばらく前に座を外したきり
戻ってこない
あたりは闇夜
テレビはちいさな半径を照らし
膝掛けがかわいた風に飛ばされて
時折の笑い声が
束の間の静寂を
そして

文学極道

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