なんだっけ思いだせない
あたしは便器に顔をうずめて
さっき飲みこんだばかりの
薄暗い花を咲かせてる
六月の海から
大丈夫あいしてるから大丈夫
が床にへばりつくのを
はやく迎えにきてほしい
あたしは便器を抱きしめていたくない
六月の海は
季節のすきまに締め上げられ
浮遊する汚物は耐えがたく
あたしは息をずっと我慢してるから
襟の垢じみたシャツで良いから
肩にかけてほしい
おんなじ曲がリピートまた
大丈夫あいしてるから大丈夫
が安っぽい感傷をほどこしてくれる
一面に散り敷かれた切り花を
蹴り除ける革靴の音に
もうなんでも別にかまわないから
スカートを捲り上げて
犬みたいに後ろから犯してほしい
けれどその手は冷たく
やっぱり六月の海は寒かったんだなと思う
なんだったんだろうあたし
あなたにとって
最新情報
選出作品
作品 - 20081201_972_3184p
- [優] 無題3(六月の海) - プラスねじ (2008-12)
* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。
無題3(六月の海)
プラスねじ