ねむれないよるは星座をつくる
ひとつずつ折り紙を指で折りこむように
まっさらな空に定規をあて
残酷でもいいから疵やすじを残していく
ねむれないよるは星座をつくる
ひとつずつ有り得ない生きものの夢を見る
点線が呼び出すおどろきの闇の新星
形を写すことはいのちを奪うことだろうか
ねむれないよるは星座をつくる
父親に似た沈黙のひつじが
ひとつずつ柵の呼び名を無限に数えていく
喩えの数だけわたしは太る
ねむれないよるは星座をつくる
みじかい寝息に引かれながらわたしは
星の氾濫をゆくりなく耐える
ひとつずつ折りこまれる折り紙のように
選出作品
作品 - 20080520_089_2773p
- [佳] 星の氾濫 - 黒沢 (2008-05)
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星の氾濫
黒沢