年老いた舞妓が齧る、
骨の音は、
いつまでたっても、
小さな音だろう、
僕が、遥か昔、
伊勢神宮で嗅いだ、
古代の人々の裸足の土の香りは、
今にも、私の隣の家の畑を耕してしまいそうだ、
そういえば、僕は葬式を散歩するのが日課だ
例えば、別れたばかりの恋人たちが好む雨の中を、
サンドバックを引きずりながら、
砂煙を上げて噴水に投げ込むまでに、
どれだけのカップル達が
アメリカンフットボールの試合の用に、
タッチダンすることができるだろうか、
もし、幽霊だけで結成されたチームがあったら、
間違いなく優勝するだろうが、
彼の足が生えてこないかどうかを審判はきっと気にして、
審判の足はさらに増える
そうこうしているうちにホイッスルが鳴らされて、
チアガールじゃなくて舞妓達が踊り始めたら、
恐らく僕の勝ちだろう、と、
毎晩、舞妓達が塗り上げる肌色は、
きっと彼女達の熱い闘志を隠すもので、
彼女らがボールを投げあいながら、のしかかりあいながら
押し合いへしあいしながら、
グッドモーニングアメリカ、と、ラジオで叫ぶことを
夢見ることは間違いだろうか?
深夜、壊れたラジオなんてのは使い物にならないのだから、
葬式と一緒に火葬場で燃やすことを僕は強く推薦したい、
京都に住んでいた時、
友人の友人が舞妓だったが、
彼女が僕に言った事といえば、
長唄の一つでも歌えるようになったら、
本能寺で遊びましょうと、
つまり、僕に燃え落ちろってわけか、
選出作品
作品 - 20070911_633_2322p
- [佳] 舞妓の葬式 - いかいか (2007-09)
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舞妓の葬式
いかいか