選出作品

作品 - 20070510_275_2059p

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クオリア

  キメラ

虹をゆめだと信じていた
やさしいカラメルとパンの朝
七月のゼリーにミントふりかけ
自転車の海岸線には真白い花束をかざろう

朦朧と浮かび
流れる知人やら故人の顔
なにもない巨大な空白と午後に
風が香りを覚え
さし伸ばされた手のひら
摘みとられたすみれ色のしずくが
透きとおった陽光に耐えながら揺れてる


こんな離別

きえたはずの鳥
青い鳥のテーゼをしる

宝石がつぎつぎに触れて
零れるくちびるなら
夜の半ば
風はあまりにうるさく
ぼくは手探り水銀灯の明滅に
儚き蝶をえがく

月あかりに突き放した
怜悧なさざなみが託した
とめどない涙
涙よ


ゆめじゃなかった
きみだった