あなたの幸せと交換にくり抜いた私の右目は
ガリレオの描く放物線で見事にホールインワン
翌朝の新聞では
「リラックスして臨んだのが良かったと思います」
嘯く彼にも新聞にも真実はない
そんなこと よく わかってます
本日私は自分の幸せの為に左目をくり抜きます
自ら描く放物線は深いラフの焼却炉の中へ
心細くも繋がった黄色い視神経は
チリチリと燃えながら 遠い穴を眺めている
やがて闇となる私の脳内では
「結局これって穴の中と同じなんじゃないか」
「それよりもソメイヨシノを見に行こう」
等などと答弁が続き
結局採択された答えは「眼科へ行こう」だったので
20%OFFの革靴を履いて外に出たのですが
ポッカリ空いた両の眼窩に注がれる
恐怖や哀れみに私は少し 身を縮めるのです
「シュウマイでも詰めんさい」
そう言ってガリレオは しゃ しゃ しゃ と 笑う
ひゃ ひゃ ひゃ
彼のようにうまくは笑えない
だけども私は今生きている
そんな事が幸せと呼べるのか
彼に聞いても 笑っているだけで
それにしてもまあこのシュウマイは遠くまで良く見える
という事は言わせていただきます
選出作品
作品 - 20070312_868_1921p
- [佳] ガリレオと横浜駅裏で - Tora (2007-03)
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ガリレオと横浜駅裏で
Tora